病気と健康管理

モルモットの強制給餌【作り方のコツと上手な食べさせ方】

今回はモルモットの強制給餌についてです。モルモットは病気や不正咬合、術後の痛みなどにより自分で餌を食べられなくなってしまうことがあります。

モルモットは常に牧草を食べ続けることで腸内環境を整え歯の伸びを防いでいるため、食べられなくなってしまうことが彼らの体に与える影響はとても大きいです。2日以上食べられないと命の危機になってしまうため、その場合強制給餌が必要となります。

強制給餌は慣れるまでかなり難しく、モルモットにも飼い主にもストレスがかかってしまいます。モルモットが嫌がっても根気よく続けていくことが必要ですが、なるべくスムーズに給餌ができるように必要なものや手順などを解説していきます。

モルモットが食欲不振だったり、餌を口からこぼす、ウンチが出ないなどの症状が見られた場合は、強制給餌を始める前にまずは原因を特定するためすぐに病院に連れていくことが大切です。

強制給餌に必要なもの

  • 強制給餌用フード(もしくはペレット)
  • ぬるま湯(フードを溶く用、給餌中に飲ませる用)
  • シリンジ
  • タオル

強制給餌は市販の強制給餌フードを買う方法と、いつも食べているペレットを代用する方法があります。

強制給餌用フード

Oxbow ハービーケア

水に溶けやすくビタミンCが豊富なのが特徴です。モルモット以外にうさぎやチンチラにも食べさせることができます。フードを1〜3倍のぬるま湯でとき、体重の5%を目安に、1日3回程度に分けて与えます。

※現在楽天市場のみでの販売のようです。

イースター ウサギ用ライフケア

価格が安価で病院でも買えるオーソドックスな強制給餌用フードです。ハービーケアよりもきめが細かく、滑らかで飲みやすいのが特徴です。ただ、ハービーケアに比べるとビタミンCの含有量が少ないので、与えるときはビタミンCを追加した方が良いです。
1日の投与量は体重の5%程度で、1〜3倍程度のぬるま湯で丁度いいドロドロ感に調整します。

ビタミン剤

ビタミンCは粉末のものか、小動物用のビタミンCシロップをそれぞれ1日に必要な量与えます。体の状態によっては少し多めに与えた方がいい可能性もあるので、獣医さんに相談してみるのがいいかと思います。

ハービーケアを使っているなら追加のビタミンCは必要ないかもしれませんが、病状によっては通常よりも少し多めにビタミンCを摂取した方がいい時もあります。獣医さんに相談してみるといいでしょう。

モルモットやウサギの強制給餌フードとしてはハービーケアとイースターライフケアの2つが有名です。強制給餌用フードはいつもあげているペレットでも代用することができます。ペレットで代用する場合はベジタブルサポートなどの栄養補助食を一緒にあげると安心です。

栄養補助食

ベジタブルサポート ドクタープラス

水に溶けやすく滑らかなため、モルモット以外に小鳥やハムスターにも使用できます。栄養補助食品のため、カロリーはあるもののミネラル、アミノ酸などが十分ではありません。
粉末1に対してぬるま湯1.5〜13の割合で溶かして与えます。

メインの強制給餌フードとしてはおすすめできませんが栄養補助食品として使えるので、少し自分で食べられるようになってきたら、湿らせたペレットに振りかけたり少し濡らした野菜に振りかけて与えると効果的です。

シリンジ

シリンジは色々な容量のものを一通り揃えておくと使いやすいです。強制給餌用として推奨されているのは、モルモットの口に入れやすいツベルクリン用の1mlのシリンジです。都度シリンジにフードを入れて与えることもできますが時間がかかってしまうため、十数本用意して必要なフードをあらかじめ入れてしまい、流れ作業で給餌した方がスムーズです。

ツベルクリン用シリンジは径が小さいので咥えやすいです。

シリンジの口が小さくフードが詰まってしまうことがあるので、口の部分はハサミで切り取ってライターやヤスリなどで滑らかにしておくとベストです。もし1mlのシリンジにフードを詰めるのが大変な場合は、一度30ml程度のシリンジに詰め込んでから1mlのシリンジのお尻の方から入れてあげると楽に入れられます。

火で炙る時は火を当てすぎないように注意します。

たくさん食べられる子や自分から加える気力のある子であれば1mlよりも容量の多いシリンジを使った方が効率的な場合があるので、モルモットの状態に合わせて使うシリンジを分けましょう。シリンジは消耗品のため、予備を含めたくさん持っていた方が何かと便利です。

ペレットで代用するとき

普段食べているペレットを粉末状にし、ぬるま湯でといて強制給餌用 フードの代わりに使うこともできます。

まずペレットをフードプロセッサーで細かく砕き、さらに茶こしで粒の荒いものを取り除きます。できた粉末にぬるま湯を加えればペースト状になります。

ペレットは乾いた状態の方が粉末にしやすいです
溶けやすいように粉状のものだけを使います

ただし、強制給餌用フードと違いペレットは膨張性があるため、10gの粉末をペースト状にするために5倍の50mlの水が必要だったことや、粒が荒く滑らかではないためシリンジに詰まってしまうことが多かったのであまりお勧めはできないかなと感じました。ペレットの種類にもよると思いますが。

5倍程度の水が必要です
ペレットの材料の特性上、滑らかなペーストにするのむずかしそうです

個人的にはペレットは、少し食欲が戻ってきたけれどまだ完全に固形物が食べられない状態の時に水で柔らかくして食べさせる、くらいの方が適していると思います。

強制給餌の方法

フードの量と回数

与えるフードの量は、基本的に体重の5%程度とされています。(実際の量はフードの裏面の作り方などを参照してください)ただし、1日の量を一度に食べきることは不可能なため、何度かに分けて与えることになります。

理想は3〜4時間おきに1回が望ましいですが、難しい場合は1日3回程度に分けて与えます。回数はモルモットが一度の給餌で食べられる量によっても変わるので、体重を測ったり食べる様子を見ながら1日に行う給餌の回数を調整していきます。

強制給餌の手順

  1. 強制給餌用フードを適量計り、1〜3倍程度のぬるま湯でといてペースト状にします。
    何回か試しモルモットの食べやすい硬さに調整するといいかと思います。
  2. シリンジにフードを詰め込みます。ぬるま湯の入ったシリンジも用意します。
  3. 準備ができたらモルモットを膝の上に抱っこし、タオルで暴れないように体を固定します。
    あまり強く押し付けないように注意し、手元が低くてあげにくい場合は落ちないように気をつけてモルモットをテーブルの上などに乗せます。
  4. シリンジをモルモットの口の奥に入れてフードを少しずつ飲み込ませていきます。この時に注意することは、
    ・シリンジは正面から入れるのではなく口の横から差し込むこと
    ・モルモットは二枚舌のようになっていて奥にも舌があるため、シリンジを2センチ程度入れて口の奥で飲ませること
    ・一気に全部与えるのではなく少しずつ入れ、モルモットがもぐもぐし終わるのを待ってから次を入れる
    です。少し咥えさせただけではフードを吐き出してしまうため奥の方に入れてあげるようします。ただし誤嚥の可能性もあるため、必ずモルモットがちやんと飲み込んでいる様子を見る必要があります。
  5. フードを少し飲み込ませたら、ぬるま湯もシリンジで少し与えます。そしてこの作業を繰り返していきます。

モルモットが食べてくれない時

強制給餌は始めは食べてくれないことが多いので、根気強く慣れさせていくしかありません。だんだんとモルモットも慣れてきて飼い主さんとの息が合うようになってくるので、どの角度が飲みやすいのか、どれくらいの長さを口に差し込むとちょうどいいのか、モルモットの反応を見ながら調整していきます。

ポイントはモルモットを動かないようにして、遠慮せずにしっかりシリンジを奥まで入れて飲ませることです。嫌がったりして難しいですが、スムーズに済ませてあげた方が彼らのストレスにもなりません。
もちろんやりすぎはNGで、本当に嫌がっているようであれば無理やりあげることはできないのですが、、。

フードの味や食感が気に入らないようであれば、ペースト状にした野菜や100%の果物ジュースを混ぜると食べてくれる可能性もあります。

もしもの時のために練習を

モルモットは加齢に伴う体の衰えや、病気の影響で強制給餌が必要になる可能性が高いです。もしもの時のために日頃からシリンジの食事に慣れておくと、いつか強制給餌が必要になった時にモルモットが受け入れやすくなります。

始めのうちはお水や青汁、果汁などをシリンジから飲む練習を始めるのがおすすめです。好きなものなら難なく飲んでくれるはずです。シリンジに慣れておくと薬を飲むときにも楽にできるというメリットもあります。

特に受け皿タイプの水入れを使っている子は、ノズル式の給水ボトルを使っている子に比べ、異物を咥えるという行為に慣れていない可能性があるため、シリンジを咥えて飲むという行為を早めに覚えてもらった方がいいかもしれません。

練習中のとんかつくん

まとめ:モルモットの強制給餌

モルモットの強制給餌は慣れるまで忍耐力が必要です。飼い主ももちろんですが、うまく食べられないモルモットにもかなりストレスがかかります。万全な準備でなるべくスムーズに済ませるようにしましょう。

モルモットが元気なときに口にシリンジを突っ込んで食べさせるのは難しいのですが、青汁や果汁など好きなものをシリンジから飲ませて、シリンジに慣れておくのはかなり有効だと思います。

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