モルモットは視力が弱く、聴覚と嗅覚に優れているということは一般的によく知られています。
実際には目が悪いといってもある程度は目視することができ、色の見分けもできると言われていますが、モルモットは自分の周りの情報を得るために音とにおいに頼っている部分が大きいです。
しかし、モルモットがどれほどの聴力を持っているのか、どれくらいの音を聞き分けているのかという情報はあまり見聞きすることがありません。
モルモットは臆病な動物であるため、大きな音がストレスになります。耳がいいモルモットにとって、大きな音はどのように聞こえ、体にどんな影響を与えるのでしょうか。
今回はモルモットの聴力について調べてみました。
モルモットの視力について調べた記事は「モルモットは目が悪い? 【モルモットの視力はどのくらいあるのか】」を読んでみてください。
モルモットの耳はどうなっているの?
実は似ているモルモットと人間の耳
モルモットは聴覚に優れており、超音波領域の音波も識別することができます。人間の耳には届かない50,000Hzまでの音を聞くことができるのです。
モルモットの平均的な可聴域は、54Hz~50,000Hzと言われています。
人間は20Hz〜20,000Hzです。人間の方がモルモットよりも低い周波数の音を聞くことができますが、モルモットは人間よりもより広域の音を聞くことができます。
ただし、モルモットはこの音域ですべての音をはっきりと聞くことはできません。モルモットは通常1,000Hz~18,000Hzの音をはっきりと聞くことができ、それ以外の周波数の音も聞くことはできますが明瞭さに欠けることがあります。
人間の耳は外耳部分を除いてモルモットの耳と同じ構造をしています。モルモットの場合、外耳は音波のための野球のグローブのような役割を果たし、音波を中耳に流します。
この音波は中耳の鼓膜を振動させ、内耳と中耳の間にある繊細な骨によって分析されています。
モルモットは耳がいい?
モルモットは捕食される側の動物です、自分の身を守るために聴覚を進化させてきた歴史があります。彼らは人間が感じるよりもはるかに広範囲の周囲の感覚を持っています。
ペットとして飼われるモルモットは、身を守る心配をする必要はありません。
ただ、モルモットは聴覚によって家の中のどこに飼い主がいるのか、誰が飼い主や家族なのかを知ることができます。また、モルモットは、例えば家の周りに他の生き物がいたり、何か物が落ちてきたりした場合に小さな脅威を察知することができます。
はるか遠くの音を感知するモルモット
モルモットは2マイル(約3.2キロ)先の音を感知することができると言われています。(3キロ先の音なんて本当に聞こえているのでしょうか、、)また、モルモットは両耳を回転させて、特定の方向からの音を聞き取ることができます。モルモットは優れた聴覚で、捕食者などから身を守って暮らしています。
モルモットは超音波領域の音も聞こえるため、害獣駆除用の超音波を発する装置を使用している場合は影響を受ける可能性があり注意が必要です。モルモットがこのような高音域の音に過度にさらされると、痛みを感じたり内耳を永久に傷つけてしまうこともあります。
犬とモルモット、耳がいいのはどっち?
犬とモルモットの音域はよく似ています。平均的な犬は、67Hz~45,000Hzの音を聞くことができます。(犬種によって聴力の感度は異なります)
可聴音域が似ている両者ですが、犬は低い音域の音波を聞くことが得意で、モルモットはより高い音域の音波を聞くことが得意です。このように、音域の端によって、どちらが優れた聴力を持つかどうかというのが分かります。
どれぐらい離れた距離の音が聞こえるのかというのを比べると、モルモットは犬に比べてより離れたところの音を聞くことができます。平均的な犬は、¼マイル(約400メートル)離れた場所からの音を認識するのに対し、モルモットはさらに遠くの音を認識することができます。
モルモットは飼い主の声を聞くことができるのか?
人間の声の帯域は85Hzから265Hzであるため、モルモットは飼い主の声を認識しているということになります。モルモットは声やにおい、そして近くにいれば目で見える姿によって飼い主のことを判断しています。
モルモットにしつけをしたり、モルモットが飼い主が言っていることを理解するのは難しいといわれていますが、モルモットが飼い主の言葉や表情を理解できるという研究結果もあるようです。
モルモットは音楽を理解できる?
音楽とモルモットに関する科学的な研究はありませんが、音楽を理解することは難しいのではないかと言われています。
ただし、モルモットの性格や飼育状況によっては、音楽を好んだりリラックスする様子が見られるかもしれません。大きな音はモルモットにとってストレスになってしまうため音量に注意し、モルモットの様子を見ながら聴かせてあげてみてもいいかもしれません。
音が与えるモルモットへの影響
大きな音が苦手なモルモット
一度や二度大きな音を聞いたからといって、モルモットの耳が永続的な損傷を受けてしまうことはありません。ただし、長期間の間大きな音を聞かせられる環境では、モルモットの内耳に損傷が起きるという研究結果もあります。
モルモットが人間と一緒に暮らす場合、モルモットは周囲の生活音に慣れていきます。例えばテレビの音など初めは怖がっていても、だんだんとバックノイズとして気にならなくなっていきます。
しかし突然の大きな音には驚いてしまいます。モルモットによっては突然の音にショックを受け心臓が止まってしまうこともあります。死因としては多いことではありませんが、それでも時々起こってしまうことでもあります。
音に慣れるといっても騒音を聞かせ続けることはストレスになってしまうため、なるべく安心できる生活環境を整えてあげましょう。
モルモットが大きな音を聞いた時の反応
モルモットが大きな音に不意をつかれて怖がった時に「ドゥルル」という音を発することがあります。
この音はモルモットにとって自然なもので、特に大きな音に驚いた時に自然に発せされてしまうものでもあります。たとえ音に驚いていなかったとしても「大きい音・気に障る音」だと感じた時も不満げに「ドゥルル」と鳴くこともあります。
我が家ではかもめがかなり音に敏感なため、部屋で物を落としたり飼い主がくしゃみをすると「うるさい」といわんばかりに「ドゥルル」と鳴いています。
モルモットがもしその場で動かなくなってしまうことがあれば、音に脅威を抱いている可能性が高いので安心させてあげる必要があります。
飼っているモルモットが耳が聞こえていないのでないかと疑う時
モルモットが耳に何かしらの不調を抱えている場合は、その症状が分かっていれば早期発見で解決できる場合があります。
モルモットの聴覚が失われると、まず普段聞こえていた音や飼い主の声に反応しなくなります。モルモットの反応や飼い主への態度が以前と異なってきたり、攻撃的になってきた場合は早めに病院に行く必要があります。
モルモットの聴覚がどの程度失われているかにもよりますが、病院では異なる周波数の音楽の短いクリップを再生してモルモットにサウンドテストを行うことができます。
モルモットは聴覚に大きく依存している動物であるため、耳が聞こえなくなることはモルモットの生活に大きな変化をもたらします。しかし、モルモットは耳の聞こえない新しい生活に慣れることができます。
まとめ:モルモットはどれくらい耳がいいのか
外耳以外の構造が似ている人間とモルモットの耳ですが、聞こえる周波数の範囲はかなり違うようです。低い音がよく聞こえる人間に対し、モルモットは超音波領域の音まで検知することができます。
広い周波数の音を聞くことができることに加え、モルモットは人間よりもはるかに広範囲の音を検知することができます。これはモルモットが捕食される動物であるためで、彼らは外敵や自然から自分を守るために聴力や嗅覚を進化させてきました。
身を守ることが少なくなった今日でも、モルモットは聴力を生かして飼い主を認識したり、家の中の様子を確認しています。
聴力がいいということは、人間がうるさいと感じる音はモルモットにとってかなりの騒音に感じているはずです。モルモット自身は身の回りの環境音に慣れて暮らすことができますが、突然の大きな音は苦手でストレスを感じてしまいます。
モルモットが過ごしやすい環境で暮らせるように、なるべく騒音のない生活を送ってあげる必要があります。